日本で高額賞金のゲーム大会が開催されにくい本当の理由とは?

サムネ(かずのこ優勝)

こんにちは、サヤマです。
ゲームがesportsとしての盛り上がりを見せる昨今、「Leage of Legends」や「Dota2」「CapcomCup」などのゲーム大会でもかなり高額な賞金が掛けられていることもご存知だろうか。

サムネ(かずのこ優勝)
今月アメリカで行われた、カプコンカップ2015で優勝し賞金約1500万円を獲得した。かずのこ選手

しかし、日本で1億円を超えるような賞金が掛けられた大会は記憶に無い。そんな時にふと、とある記事を見つけた。
「日本で高額賞金のかけられたゲーム大会が開催されないのはどうしてなのか?法的観点から考えてみる」というタイトルで書かれているこの記事、とても興味深かったので、一部を抜粋して紹介します。

海外ではゲームがeスポーツとして広く認知されているのに対し、ゲーム大国といわれた日本が大きく後れを取っています。そこで、eスポーツの発展と切っても切れない高額賞金付きのゲーム大会が、日本であまり開催されない理由を法律家の目線から考察してみます。

賞金目的でゲームで勝敗を競うことは賭博に当たらないの?

賭博に当たるかどうかは偶然の要素賞金の出どころがポイント

刑法185条では「賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する」と定められています。ここでいうところの「賭博」とは、偶然の勝敗に関して財物を賭けてその得喪を争うことをいいます。

  • 偶然の勝敗
  • とはそのままの意味で、勝敗に少しでも運が絡んでくる余地があれば、これにあたると思っていただいて構いません。ゲーム大会は、プレイヤーの技量だけでなく、運によって勝敗が左右されますから、「偶然の勝敗」に関するものということになります。


    「財物…の得喪を争う」とは、勝者が財産を得る反面、敗者が財産を失う関係にあることをいいます。この関係をもう少し分かりやすくいえば、勝者の獲得する賞金が、敗者の財布から出ているというイメージです。したがって、勝者に賞金が与えられる勝負であっても、敗者に何ら財産を失うリスクがない場合には、「財物…の得喪を争う」ことにはなりません

    サヤマ「なるほど・・・法律と一概にいっても、こういった場合では大丈夫、のような状況は存在するのですね。もう少し読んでみましょう」

    参加費をとって賞金として分配したらアウト

    上で説明した基準によると賞金付きゲーム大会は賭博に当たるのでしょうか? ケースごとにみてみましょう。

    ケース1

    A社は、プレイヤー参加費無料の賞金付きゲーム大会を主催し、賞金の大部分をスポンサーのB社に提供してもらうことにし、残りの部分については観客の入場料から工面することにした。


    ケース1では、賞金はプレイヤーとは無関係のスポンサーと観客から拠出されており、プレイヤーの財布からは出ていません。つまり、この場合、敗者に財産を失うリスクはないので、賭博には当たらないということになります。主催者が賞金全額を自腹で準備する場合も、これと同じことがいえるので、賭博には当たりません。

    サヤマ「参加費を取って、それを賞金にする事がダメということであれば、たしかにこの方法ならば法律に引っ掛からないというわけですね。観客+スポンサーで賞金を出す場合であればセーフになるようですね。」

    ケース2

    A社は、プレイヤー参加費ありの賞金付きゲーム大会を主催し、賞金の大部分をスポンサーのB社に提供してもらうことにして、残りの部分については


    (1)プレイヤーの参加費から工面することにした。
    (2)観客の入場料から工面することにした。なお、プレイヤーの参加費は大会の運営費用に充てることにした。


    ケース2の(1)では、賞金はスポンサーから拠出されるとともに、プレイヤーの財布からも出ています。この場合、勝者が賞金を得る反面、敗者が参加費という財産を失うリスクがあるということになるので、賭博に当たってしまいます。


    これに対し、ケース2の(2)は、プレイヤーが参加費を支払っていることに違いはありませんが、賞金はスポンサーと観客から拠出されており、プレイヤーの財布からは出ていません。そうするとこの場合、勝者が賞金を得る反面で敗者が参加費を失うという関係性は認められないので、賭博には当たらないということになります。

    サヤマ「ケース2(1)の場合はやはり、スポンサー提供に加えてプレイヤーの参加費が支払われることになると、賭博法に当たる訳ですね。
    ケース2(2)の場合であれば、あくまでも参加費は運営費ということで当てれば、賞金はスポンサーと観客から拠出になり、セーフと、少しずつ理解出来てきたような気がします。」

    参加費無料でも風営法に注意する必要がある

    ケース3

    ゲームセンター経営者Cは、自身が経営するゲームセンターとは別の広いイベント会場を借りて、プレイヤー参加費無料の賞金付きゲーム大会を開催することにした。


    ケース3では、プレイヤーの参加費が無料であるため、賭博には当たりません。それでは、Cさんは問題なく大会を開催できるのでしょうか?


    賞金付きのゲーム大会を開催するにあたっては、「風営法」(正式名称は、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」といいます)の規制にも気をつける必要があります。


    風営法は、風俗営業を営む者に対して一定の行為を禁止しており、23条2項では「第二条一項…八号の営業を営む者は、…遊技の結果に応じて賞品を提供してはならない」と定められています。2条1項8号は実際に読んでみると分かりづらいかもしれませんが、ゲームセンターがその典型例です。


    つまりこの規定は、ゲームセンター等を営んでいる者に対して、大会の勝敗など遊戯の結果に応じて賞品を提供することを禁止する規定であるということができます。なお、この規定は、営業者に対する規制を定めたもので、ゲームセンター内での賞品提供に限ったものではないということには注意が必要です。


    そうすると、ケース3では、参加費が無料で、大会会場はゲームセンターではありませんが、大会主催者がゲームセンター経営者なので、風営法違反ということになります。

    サヤマ「ケース3では、風俗営業を営む者、ここでいうところのゲームセンターを営んでいる人が大会を主催する場合は賞金が掛けられないとのこと、またまた新しい事が出てきました。賞金がある大会を開く場合は大会主催者以外で開くことが条件のようです。」

    高額賞金の大会が開催されないのはなぜか?

    過大な景品類の提供を禁止する法律のせい?

    大会参加者からお金をとらず、ゲームセンター等を営む者以外の者を大会主催者とすることによって賞金付きのゲーム大会が開催できることが分かりました。


    それでは、日本で、海外のような高額賞金がかけられたゲーム大会がなかなか開催されないのはなぜでしょうか?


    景品類の最高額等を制限する法律として、景品表示法(正式名称は、不当景品類及び不当表示防止法といいます)というものがありますが、これが原因なのでしょうか?


    制限の対象とされる景品類とは、顧客を誘引するための手段として、取引に付随して提供する経済上の利益を指します(景品表示法2条3項)。少し分かりづらいですが、お客さんの購買意欲を高めるため、商品におまけをつけたり、入店した際に抽選券等を配布するといった場面を思い浮かべてみてください。

    ケース4

    ゲーム制作会社Dは、参加資格をD社制作のゲーム購入者に限定した賞金付きゲーム大会を開催することにし、賞金はスポンサー会社から全額提供してもらうことにした。


    ケース4では、賭博罪と風営法はクリアしているので、賞金付き大会を開催すること自体に問題はありません。ただし、参加資格を商品購入者に限定しているため、参加資格目当ての購入を誘引することにつながるもので、取引に付随して経済上の利益を提供しているということになります。したがって、この場合は、景品表示法によって提供できる最高額等が制限されることになります。


    他方で、ケース4と異なり、参加資格を限定しない場合には、最高額の制限は問題になりませんし、実際、開催されているほとんどの大会で、参加資格は限定されていません。そうすると、賞金が高額にならない理由は法律のせいではなさそうです。

    サヤマ「ケース4のように、参加資格がある場合は、賞金に上限額がついてしまうことになるようです。ほとんど参加資格が限定されていない日本の大会、ではなぜ高額にならない、なりにくいのでしょうか・・・?
    引用元、Gamer

    サヤマ「Gamerさんの記事を読みましたが、大会運営、法律、スポンサー側のメリット、などと色々と難しい問題が多いですね。最近では日本のesportsの認知も増えてきていると思うので、その辺りが少しでも緩和されていけば、もっと盛り上がる業界にも成長できるのかなと思います。」

    最新ゲーマーニュース攻略からのお知らせ